2022年4月28日木曜日

ゲルニカ

 スペイン・バスク地方の古都ゲルニカ。1937年(昭和12年)の4月26日。ピカソの大作のベースとなったスペイン内戦の空爆が行われました。暴挙はプーチンと当時のヒトラー。スペインのフランコ将軍反乱軍支援のナチスのコンドル軍団による空爆でした。

 東京を初めとする、あの77年前の大空襲。名古屋城を焼き尽くし、市内のほぼ全土を廃墟にした、1944年12月。1945年の3月12日、19日、24日。3日間で2900人以上が死亡。5月14日には落城です。エノラゲイ。広島に、あの核爆弾を投下する練習の為、名古屋の空にB29の該当機は来ていたそうです。当時、名古屋への空襲は計60回に及んだといいます。

 参考までに、その空襲でほぼ被害のなかった地域が市内11ヶ所の木造密集地区。いわゆる狭隘道路の問題地域なんですね。

 このテーマの本題に戻します。

プーチンは、再びウクライナ東南部に続いて、西隣接国のモルドバへの侵攻も始めるべく、空爆にとりかかったようです。

 プーチン大統領にゴルゴ13を差し向けるなどと、私見とて、言ってはならぬでしょうが、本心、一人の狂信による大量殺傷は、なんとかしていただきたい。

 26名(乗組員2+観光客24)の知床観光船の会社、及び、船長判断と同様、やっていい事と、いかん!ことは、はっきりしている筈です。

 愛知県土地家屋調査士会。支部総会。本会総会。適格に、業界の課題に取り組んでおられます。

私が会長を退任して、1年が経ちます。

 命を、まずは大切にしてまいりましょう。

2022年4月19日火曜日

高額マンション節税:逆転判決?

●令和4年3月22日 国交省の公示地価発表(国土交通省土地鑑定委員会)

       住宅地、商業地ともに、全国平均で2年ぶりに上昇へ

       東京圏、そして名古屋圏は商業地の上昇。大阪圏は依然横ばい。

 

○住宅地は、低金利環境の継続、住宅取得支援施策による下支え

○都市中心部の希少性が高い住宅地(東山線沿線)

交通利便性に優れた住宅地(名古屋駅西口至近)

上昇、生活スタイルの変化→需要者ニーズの多様化

○地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)の上昇率拡大

×国内外の来訪客(インバウンド等)が回復していない地域や、飲食店舗等が集積する地域では下落

×都市中心部では、オフィス需要に弱い動きのみられる一部地域がある

 尚、公示地価は別称として「地価公示、公示価格、標準価格、標準地価格」とも呼ばれています。 

 国税庁が毎年7月に公表する相続税、贈与税等における土地等の評価額の基準となる路線価は、地価公示価格(…毎年1月1日時点の評価)を基に算定。

※1969年施行の地価公示法→相続税法

 他に、国土利用計画法に関連して、毎年9月には、各都道府県により基準地価が公表されます(…毎年7月1日時点の評価)

 

●最新の路線価は、国税庁の「財産評価基準書、路線価図、評価倍率表」によって確認。

令和4年1月1日から12月31日迄に亡くなった故人の土地の相続税申告評価は、7月1日頃公表の路線価等によって算定。 

●毎年4月初旬には、各市町村(名古屋市は、栄・ささしま・金山の3市税事務所)から、固定資産税の請求書がお手許に送られてきます。

 固定資産税路線価は、市町村の税務課が地方税法に拠って定め、土地は3年に1度、評価替えが行われます。(令和3年の次は令和6年です)

→ この路線価は、固定資産税、都市計画税、そして、県税事務所から、土地等を購入した際、約3ヶ月後に自動的に買主に請求書が届く、不動産取得税の算定に用いられます。

       ※ 一般社団法人 資産評価システム研究センターによる「全国地価マップ」で、全国津々浦々の評価が確認できます。

 

 最初の公示価格は、国が決定する都市部の土地の価格であるのに対し、基準地価は、都道府県が決定する、都市以外も含む土地の価格となります。

 つまり、公示価格の対象外の農地・山林なども含まれます。

       公示地価≒基準地価   〜100

       相続税路線価         〜80

       固定資産税路線価     〜70

 ◎ 実際の不動産売買の実勢価格

                               〜60〜200?+α

 

 地元名古屋では、30年前に暴発したバブル以来の地価高騰が、一部都心でおきています。実勢価格は公示価格とかけ離れて、高いことも、又、安いこともあります。

 しかし、親族間等で、あまりに安く土地取引をすると、管轄税務署から、みなし贈与として、贈与税が課せられることがあります。

 この場合の基準は、相続税路線価です。

納税義務を免れる行為や、納税額を大幅に削減する行為は「相続税法第7条」にて、取り締まられます。

 

〜第7条

著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合においては、当該財産の譲渡があった時において、当該財産の譲渡を受けた者が、当該対価を該当譲渡があった時における当該財産の時価(当該財産の評価について、特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の譲渡が遺言によりなされた場合には遺贈)により取得したものとみなす。〜

 

●令和4年4月19日最高裁は・・・・

 事案は、平成24年6月に94歳で亡くなられたAさんの相続人(妻、子供3名+二男の子(孫)を養子にし、計5名)が行った相続税ギリギリ対策。

 管轄税務署、課税当局は、相続人に2億円以上の追徴課税処分をしましたが、これを不服として納税者は上告し、争い続けてきました。

 被相続人は、平成21年1月と同年12月に

       A 東京都杉並区の一棟マンション    8億3700万円

                                      (借入6億3000万円)

       B 川崎市内の一棟マンション      5億5000万円

                                    (借入3億7800万円)

             (妻から4700万円借りる)   

                      合計       13億8700万円で購入    

 

 4年もたたずに相続発生。遺言により、この2棟は借入債務と合わせて、孫養子が一人相続。

 彼は、約9ヶ月後に、川崎市内のマンションを5億1500万円で売却し、10億円の借入返済に充てました。

 その他財産も含め、相続人5名は平成25年4月迄に相続税を申告しました。

 A、Bのマンションについては、教科書通り財産評価基準通達に定められたように、土地については路線価を用います。建物も固定資産税評価額です。

 

            土地   1億1400万円

               建物     8600万円 /小計2億円

            土地     5800万円

               建物     7600万円 /小計1億3400万円 

                                                 合計 3億3400万円 

 これは、小規模宅地特例を適用する前の評価ですが、それでも10億の負債と通算するとマイナス6億6600万円・・・相続税:零です。

 賃貸の一棟マンションですから、土地は貸家建付地85%、建物は借家として70%評価です。

 

 サァ、国税当局は、路線価による、これら評価は著しく不適当だとして、この申告は認めません。

 平成28年。独自に不動産鑑定評価を行い更正→3億3000万円の追徴課税です。

 

              不動産鑑定

                    7億5400万円  

                    5億1900万円   

                      12億7300万円…申告評価の約4倍!!

 

  相続人は、平成29年に更正の取消を求め、東京地方裁判所に訴えます。

判決は棄却・・・、高裁も同じく棄却されました。

   ↓

「路線価による評価は否認、鑑定評価額による評価が相当」

 財産評価基本通達 総則第6項の適用

〜この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。

 

 国税当局は、

「本事案はあからさまな相続税対策であり、本来課税されるはずの財産まで課税を免れようとした。これでは納税者の間で不公平になると判断。」

 

〜 融資をした信託銀行の社内文書に、相続税対策でA、Bマンションを購入すると記載していた。

〜 孫養子は、相続税申告提出前に、Bマンションを売却した。

〜 この5名の相続人は、このA、Bマンション以外に自宅不動産や有価証券をあわせると7億円ほど遺産を相続しており、借入金残の10億円が引かれる事により、基礎控除、債務控除、葬式費用控除により、見事・・・相続税0でした。

 

●路線価否認判決(地裁、高裁)からの最高裁4月19日は、どうなったのでしょうか?

→ 結果、納税申告者の上告は棄却。路線価の評価ではアウト。

  今後の影響を追いかけます。

 

2022年4月14日木曜日

参集

  少ない読者のみな様??

伊藤直樹のブログは、不思議にも、愛知会HPの下段にて生き残っています。

 そんな事は兎も角、この4月から5月。新年度が始まっています。

 支部総会、そして本総会。参集は任意ですが、本来は会員同士の融和のタイムです。

 多くの仲間が参集出来る会場設営を望むと共に、担当される役員のみなさんの心労を察します。

 

 今朝の公明新聞(4月14日)に、ひきこもりの記事が載っていました。

 不登校情報センター松田武己さんの連載です。

「どちら様ですか?と尋ねられた、ひきこもり体験者の驚き。久しぶりに外出しようとしたら、近所の人から忘れ去られるほど自分は姿を隠してきたのかを改めて認識した。」この、どちら様という用語が、そのまま国語辞典に載っているそうです。たしかに、日常、用いる事もあるかな・・・。

 

 なんだか、この2年余のコロナは、人と人の出会い、いつも通りの会合、参集を断ち、あたかも国をあげてのひきこもり推進により、マスク、アクリル板ごしに、笑顔の交流が無い世の中に仕上げてしまいました。

 全て、この2年間で人と人の出会いが絞られた感があります。

勿論、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は解除となり、街行く人でマスクなしで歩く姿はないのが当たり前の中、人流は増えています。

 地元名古屋のバンテリンドームも、2万人前後の観客が、全員マスクをはずすことなく、拍手のみでプレーを見守ります。

 自分の研修会やセミナー講師を務める際は、聴衆から離れてマイクに向かう際、ようやくマスクをはずす事も始めています。

 

 参集できる時は集まりましょう。人と語り合いましょう。

来たる支部・本会等の総会には出来る限り参加され、元気な姿をおみせください。

 

 特に土地家屋調査士は、横のつながりあっての業界です。

会合の前時間、終わってからの語らい。

 そろそろ、マスクごしではありますが、パソコン、スマホ、タブレット画面ではない、フェイスツーフェイスを取り戻しましょう。

 

 久しぶりに再会して、「どちら様ですか?」とは言わないでくださいね。

2022年4月11日月曜日

太陽光発電メガソーラー

 とある親族の土地、休耕田畑の900坪に、相続を経て、太陽光パネルを設置させてもらいたい旨の契約事がありました。

 愛知会の中でも、休耕地の土地分筆登記や、測量の受託をされている会員がいますね。

 『高利回り。国が定めた制度により買取額が長期的に安定。乖離の少ないシミュレーションで投資先を選択。故障不良も即日対応のサポートでリスク回避。20年以上の長期安定収入、全国の新着優良物件多数。』という投資対象で、いわゆる投機です。

土地をメガソーラーに提供する地主さん。そして、儲け話を信じ、金融機関から借り入れして、調整区域なら借地(登記はなし)。無指定なら、設置ソーラー付土地所有権売りです。

 土地家屋調査士の測量図面が添付されていれば、鑑定書付きの商品です。最大利回り12.7%の高収益・・・ですか。

 

 さて、地域住民とのトラブルはどうでしょう。

 メガソーラーの設置には、土埃の飛散、土砂災害リスク(熱海の伊豆山も一部メガソーラーでした)、光害、森林伐採、景観の悪化による、いわゆる環境破壊。

  しかし、問題は、太陽光発電投資を担う企業の破綻なのです。メガソーラーとは大規模太陽光発電のことで、発電容量1MW(メガワット=1000kW)以上の民間発電所です。

 家庭の屋根にのせる10kW未満の太陽光発電の平均は4.6kWだそうですが、自宅で消費される迄ならばエコなのでしょうか。私の愚息の自宅屋根にも載せたようです。

 アパート事業のソーラー事業は減価償却17年ですが、ほとんど20年はもたず、発電能力はダウンしてしまいます。

 パネルも、10年前は京セラとか国内メーカーの名を聞いていましたが、現在は世界中で設置されるものは、ほとんどが中国製です。

 

 もう一度、最大の問題に戻りましょう。

この太陽光パネル事業を売りつけ、当然、適宜メンテナンスをするべき企業が、どんどんと破産して逃げていることです。10億、100億単位の負債で破綻しています。当然、冒頭の親族に持ち込まれた契約書の中には、20年後には、当社にて全て撤収して更地返還いたします、と明記してあります。

 数年を待たずして、この会社は破綻します。(私見です)

毎年、地代を支払う約束もパーです。勿論、電力会社への供給も途絶えて、このメガソーラーパネル事業に投資した人からのクレームも(意味はないですが)押し寄せることでしょう。

 そして地主は、やむなく、敷地いっぱいに設置された使えなくなったソーラー施設を、自費で撤収処分せざるをえなくなります。

 

 本日、この話のオチをお伝えします。

 900坪の元農地、20年間のソーラー会社の土地賃借契約書の契約賃料は、幾らだと思われますか?

  1年、3万円ですよ。

20年で60万円。

 恐らく個人の都会の投資家には1000万円〜2000万円で売りつけ、年12.7%=MAX127万円の売電を保証するのです。

  メガソーラー事業に、みなさん、加担しないでください。

 私見ですが、太陽光関連会社と消費者の関係について土地家屋調査士は、目先の利益に走ることなく、正しい情報をアドバイスの出来る社会人でありたい。あって欲しいです。

 投資も、メガソーラー土地利用も、それは正しい判断なのかどうか・・・

2022年4月6日水曜日

交換と共有物分割

  不動産取得税の話題です。3月22日最高裁第三小法廷は、登記を共有物分割としていても、共有する複数の不動産を一括して分割の対象とし、一部の土地の他の共有者の持分を取得して、単独所有するのは、通常の交換特例であって、東京都税事務所は、持分の取得に対して不動産取得税の賦課決定処分した事を適法としました。

 納税者は、この処分の取消を求め、高裁が都税事務所の処分を認めていたものを、今回、最高裁が支持して、納税者の上告を退けました。敗訴でした。

 地方税法では、共有物分割による不動産の取得に対し、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分(持分超過部分)の取得を除き、不動産取得税を課することができない旨、規定しています。

 簡単な例にしましょう。2筆土地があり、1筆はAが5分の4、Bが5分の1の100㎡、もう1筆は、Aが5分の1、Bが5分の4の100㎡。合計すればAとBの共有持分地積はイコールです。登記としては、共有物分割として権利登記を申請することが通ったとしても、実質、個々の不動産の取得ごとに判断せよとの解釈をした訳です。

 土地家屋調査士は、共有物分割の前提となる土地分筆登記を行う事があります。その場合の打ち合わせの際に、持分超過部分の取得税の取り扱いに、注意を払う必要があります。

 土地交換の税務特例は、国税の譲渡所得税が免除となるものであって、県税の不動産取得税については賦課される事、お忘れなく。