2017年8月22日火曜日

誤嚥性肺炎


  人は、水や食べ物等の胃・食道逆流物が誤嚥によって肺に入ることで亡くなることが多いといわれます。肺に細菌が繁殖して、炎症を起こすことで発症します。

 人間の口から食道へ入るべき物が気管に入ってしまうことを誤嚥といいます。あるいは、胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸収しても、発症します。

 口腔内が清潔に保たれていないといけない。結果、高齢者や神経疾患などで寝たきりの患者さんのように、咳反射が弱い方の発症が多いため、老人性肺炎とも呼ばれています。

 

 さて、土地家屋調査士にとって、依頼者の本人確認、そして隣接地権者立会時の本人の意思が十分確認できるかどうかは、日常業務の受任時、及び隣地との折衝の時点で、大変ナーバスなハードルがあると感じています。

 

対人対応の場面において、他の士業と土地家屋調査士の仕事ぶりは大いに異なっています。

 

 隣接士業、司法書士さんは、依頼者本人以外とまず接点は少ない業種と察します。ご家族とはご挨拶します。しかし、登記の世界でご本人以外とのやりとりはほぼ皆無。後は金融機関、不動産仲介業者さんとの会話はあったとしても、全くの第三者の方と話す機会はありません。

  簡裁代理権に拠る過払い取戻でクレジット会社等に司法書士さん本人が乗りこんでいく事は、漫画「かばちたれ」の空想の世界でしかありえません。

  これは、行政書士さんの業務全般にもいえることではないかと、私見ですが解釈しています。

 さて、税理士さん、社会保険労務士さんも、なかなか依頼者の法人の代表者、経理総務担当者の方以外とお会いすることはないでしょうね。

 

 土地家屋調査士は敢えて言えば、弁護士さんのように対立する相手方と接点を持つことが日常の業務です。但し、対立関係の処理という仕事となると、形式的には弁護士法第72条に抵触する。いわゆる非弁活動になってしまいます。

 

 ここが肝心です。

 土地家屋調査士は日々の土地測量に伴う近隣立会において、紛争性と常に隣り合わせであるが、これは昨今の弁護士さん曰く、司法書士さんが弁護士さんの取り扱う紛争領域に介入しているのではないかというステージとは全く違うのです。

 潜在的な紛争性を感知した上でもめないように事を片付けていくことが土地家屋調査士の他士業との大きな違いであると、少なくとも私は確信しています。

 私共は依頼者の土地の測量をする前提で隣地の門扉を開いていただきます。ある意味、突然ピンポンします。全て初対面です。

その方から委任状はいただくことはありませんが、立会のご確認のご署名ご捺印をいただきます。それが私共の仕事の芯となる日常です。

 

 最初の話に戻りますが、委任状をいただく依頼者の方のご本人確認は、或る意味、ご高齢者であっても手順が踏めます。

 しかし隣接地権者は、単有の場合、共有の場合、相続登記が未了のケースもあります。そして、立会の最初のご挨拶から、業務の終了時、芯となる立会を終える時迄、お元気かどうかも、なかなか確知することが難しいのです。

 

 冒頭の肺炎話。実は自分の実父もそうだったように、最近の多くの地主さんの最期というと、かなりの割合で誤嚥話をうかがうことになります。

 私共土地家屋調査士制度という職域になぞらえれば、咳をする力すら失ってしまうと、ついには末期を迎えることにつながる。咳は大切です。そして、日々食道と気道に入ってくる物(お客様のオーダー)を振り分けていく力も大切。

 酸いも辛いも振り分けて、私共は土地境界にからむ仕事を解決していかねば。

2017年8月10日木曜日

土地家屋調査士の仕事


会長発  平成29年8月

 

 不動産の表示登記を代理申請できるのは、土地家屋調査士だけですが、土地家屋調査士は、表示登記を法務局に申請するだけの資格者ではありません。

 

 今回はこのことについて、会長としての私見を述べさせていただきましょう。

 

 私共が立脚する土地家屋調査士法(昭和25年7月31日施行)の第3条には、法務省に監督される資格である以上、土地家屋調査士の独占業務領域は登記申請を目的とした業務に限定され、狭義の業務範囲がうたわれています。

法解釈上、これはこれで当然のことであると理解しています。

 私自身、年間、自分の職印を押印し、世に提出させていただく確定測量図と、同じく職印を押印し、法務局に成果提出し、登記を完了させる業務を行っているのですが、登記に関しない確定測量図を、直近では全体の6割以上を納品しています。

 この文章をお読みいただく国民・市民の方々は、既に土地家屋調査士のことを少しでもご存知の方々かと察します。そして、私共の業務が、街中の土地売買やご自宅の敷地確定、アパート事業用の敷地確定において、なかなか活躍しているではないじゃないか、と認識していただいているのではないかと察します。

 

 現在、愛知県土地家屋調査士会は、現実に国民・市民のみなさんに必要とされている仕事をしているという自負と、今従事している業務に対する責任をキチンと果たしたいと、真剣に考えています。

 現実に土地家屋調査士は、愛知県内ほぼ全ての市町村に事務所を構え、存在しています。そして、国民・市民のみなさんが所有されている不動産をやはりほぼ99%、少なくともこの地元にて、私共が資料調査をし、測距し、記録の上、成果図書を納めさせていただいています。他の資格者ではなく土地家屋調査士がほぼ99%行っているのが実情です。結構、土地所有者のみなさんには、勝手ながら周知いただいているかと察します。

 それでも土地家屋調査士というネーミングは売れていません。弁護士や司法書士より資格の名前が売れていないことが淋しい!

このホームページをお読みいただいているみなさんには、おぼろげながら、私共の土地家屋調査士像は伝わっていますか?

 恥ずかしながら、昭和25年に法に立脚し、私共の制度が発足以来67年もの間、無名の国家資格者集団だったのかもしれません。

 30代、40代の頃の伊藤直樹は、この愛知会、又は全国組織の日本土地家屋調査士会連合会において土地家屋調査士広報に努めてまいりましたが、どうやら売り込みは十分でなかったようです。

 

 もう一度、私共の仕事をご紹介します。

 私共は、日々、土地の歴史の調査をした上で、土地を測量しています。建物も、測量と所有権原調査の上、成果をご報告します。

一部は法務局に登記申請をします。こだわりますが、県下全般で土地家屋調査士が行う業務の半分は、登記関連です。しかし残りは登記申請を伴うことなく、依頼者の方々に成果をお届けし、報酬をいただくのが私共の業務です。そして登記申請の有無で、業務の質を変えないことが、土地家屋調査士に課された使命なのです。

 これが現実である以上、法務省に対し早々に私共の法律上の業務範囲を正しく理解してもらい、実務上受け入れられている経済取引としての、土地家屋調査士の日々の業務を受け入れていただけるよう、地道に法改正等々の運動を行っていることもご案内してまいります。連合会では、法務省だけでなく国土交通省やその他関連団体にも真摯にアプローチをしてくれています。

 

 愛知県土地家屋調査士会は、まじめに自分達が仕事を完遂し、法的根拠についても必ず国民・市民のみなさんのご了解がいただけるよう、これからまだまだ頑張るしかないと思っております。

 みなさんのご理解とご支援をお願いいたします。