2023年3月25日土曜日

帰属省令、公布

 令和5年1月13日に相続土地国庫帰属法の施行規則が公布されました。同法、同法施行令の施行日、本年4月27日から運用が始まり、各法務局(本局)の窓口で、どんな状況になるか注目です。

 残念乍ら、承認申請の書類作成代行は親族や一定の資格者が行うとされ、弁護士、司法書士、そして行政書士に限られ、帰属制度における専門家の活用について案内されている法務省HPの文面には、尚書にて、土地の所在や境界に不明瞭な点がある場合など、申請に先立って、土地の筆界に関する専門的知見を有する土地家屋調査士に相談することができる・・・と記されています。

 弁、司、行は太字で表示されているにもかかわらず、調は細字にて、強調はされておらず、法務省資格である事に、フト、不安を覚えます。

 法第2条第3項の却下事由1〜5の内、5の「筆界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地」という表現は、どこまでの門前払いとなるのか否か、今回の省令の中で読み取れるのか否か。

 添付書類としての図面は、測量に基づく確定測量図や地積測量図を添付する必要はなく、あくまで承認申請者が認識する所有権界を示せば足りると表現されています。 

 境界点を確認するための写真の添付が求められていますが、隣地との所有権界を示せば、筆界点についての復元測量は不要。厳密な座標値を記載する必要もない。

 但、承認申請時のみならず、国庫帰属時も判別可能なものである必要があり、→境界標、ブロック塀又は道路のヘリ等、地物、地形、又は簡易な目印(紅白ポール等)によって、継続的に判別できるものであれば良い。

 この承認申請を、この資料でもって、法務局の登記官のみなさんが審査し、問題なしとして、各法務局より各財務局(+地方農政局又は森林管理局)に、国庫帰属移管する嘱託登記は職権にて行われるか、公嘱司法協が手を挙げられるのか、将来の件数によることでしょう。

 

 さて、注目すべき第13条について、ふれてみます。

境界が明らかでない要件を確認するため、法務局から、「境界点」で接する全ての隣接地所有者に対して隣接地所有者通知を発し、境界に異議がないか照会をかけるようです。

 異議がある場合には、2週間の期間内に回答をすることを求め、異議があったら、承認申請は却下されるというのですが、この部分を法務省では、施行通達で通知の詳細、及び、様式を定めておられますが、本気で、測量をすることなく、面識のない隣の人が相続を機として国に引き取ってもらうから、境界に異議はありませんと「異議はない」旨の回答が返信されてくると想定されたのでしょうか?

 その後、通知が届かなかった場合、法務局の担当者が、隣接地所有者や近隣住民等に実地調査をするとしています。このような現地入りをされる法務局担当者は、当然に表示登記官のみなさんとなり、そのお手伝いを民間側で土地家屋調査士がお手伝いするような舞台は、現時点では用意されていません。

 是非、4月27日以降の運用の中から、土地家屋調査士の活用を法務局審査面から、相続人のみなさんにお伝え出来るよう、業界として取り組むべきかと考えています。

 連合会は、この帰属法の円滑利用が為、出来ることから国民へのアピールを行えば、却下事由を回避していただける受け皿として、土地家屋調査士は注目いただけます。いただけるのです。

 地元、名古屋法務局の担当者の方々、そして愛知会のみなさん、更には覗いていただいている全国の土地家屋調査士のみなさん。

 業界とは、国民のニーズに私達から寄り添うことに全力投球する組織。

 違いますか?

2023年3月9日木曜日

連合会、岡田会長等による月刊誌への寄稿等について思う

 先の登記研究(テイハン)900号記念号(2023年2月号)に、現在の連合会会長を務められる岡田潤一郎様が、私達の業界をエネルギッシュに分析された、20頁以上にわたる長文を出稿されました。

 又、同じく法務行政に関する2大月刊誌である登記情報(キンザイ、2023年3月号)において、法務省民事局民事二課の方々と、岡田潤一郎連合会会長、鈴木泰介連合会副会長、又、前連合会役員であられた内野篤様等による座談会記事が掲載されました。

 前稿は「不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として土地家屋調査士が選択され続けるために」。

 後稿は「表示登記における筆界確認情報の指針を踏まえた今後の実務」。

 いずれも、全国16200名余の会員が必読すべき内容であり、僭越乍ら、私が概要を、私見ではありますが、紹介させていただきます。

 岡田連合会会長は、13年前に誕生した私達の制度が、今日に至る迄、幾度かの法改正を経て、時代と社会の変革に対応してきた歴史を冒頭につづられ、特に平成14年改正の法第25条第2項、地域の慣習の重要性、平成17年改正のADRへの参画を隣接法律専門職として活躍の場を確保したと記されました。

「筆界」の文字が登記法の中に表現された事実が、市民生活における安心と安全、防災と減災というカテゴリーに歩を進めた瞬間と捉えられています、との文面に…私見を少々はさみます。民間紛争解決手続代理関係業務は、弁護士との共同代理申請を行うものです。決して独立した隣接法律職能者としての活動は出来るものではありません。この点は、平成17〜18年当時、岡田会長も私も、同じ連合会理事として、このADRの限界について認識されていた立場であったと思います。

 ADR申立を、私が愛知会会長の任にあった4年間で、年に2桁までの件数へと伸ばす為、愛知県弁護士会から推挙いただいたセンター委員長等に汗を流していただきましたが、これは独自に土地家屋調査士が活動したのではなく、弁護士の先生方に目一杯、動いていただいた成果でした。

 全国的に隣接法律専門職という言葉を用いる役員さんがまだおみえですが、法務省において、法曹界においても、土地家屋調査士として、隣接云々とは取り扱われていない事を再認識すべきではないかと、私は考えます。

もう一度記します。残念乍ら、弁護士さんから隣接とは評価されていないのです。

 自分達を卑下したり、ADR参画を消極的に捉えるつもりはありませんが、内側だけでステップアップ出来たと言うだけでなく、実質の成果をあげる事に力を入れない限り、国民から隣接法律専門職として正式に認められないでしょう。

 現在のADRへの取り組み状況では、外からの認知はありえない。であれば、連合会でどのように実績づくりをしていけば良いのか、英智を集めたいですね。

 このままで良しとしていては、いけないと思います。

 

 さて、先の法改正によって使命規定が誕生をしたくだりを、岡田会長が詳細に説かれた文面の中で、広く国民の皆様と社会からのニーズが拡大していくものと考えている、という言葉には深く共鳴します。

 であれば、より社会のニーズがどこにあるのか、どう拡がっているのかを、連合会こそがアンテナを高くして情報収集する仕事を実行しなければならず、その点は、自身も連合会役員に名を連ねていた間に十二分に果たすことが出来ないまま、今、在野にいるあたり、不甲斐ない。

 

 令和3年4月23日、日調連発第32号の照会に対する民事第二課長回答は、当時の國吉正和会長のタイムリーな問いかけでした。この照会回答に、1.趣旨、2.検討、3.結論が紹介されています。解釈の幅という表現にて、法令で認められる業務と、認められない業務との区別に言及されていますが、社会のニーズが前提で拡大する中で、土地家屋調査士の業務領域は、連合会から率先して拡く解釈するリードがあっていいと、私は感じています。

 この「解釈の幅」は、キンザイの筆界確認情報の指針座談会においても、法務省サイドから、所有者不明土地問題の解消の一環として、運用面で壁を取り除かれようとの発信がされ、これを全国の土地家屋調査士がどう受け止めるのかが、今後問われることになりましたが、そこでもあてはまるのではないでしょうか。

 そして、この筆界確認書を隣人からとりつける事を一部略すことは、あくまで登記が不能とならないように運用するものであって、実際の相隣関係において、立会・了解の得られない境界ラインでは、土地の安心安全な取引や、建物の外構工事が執り行えないことは、どなたでもわかっている筈。

 鈴木副会長が、境界確認書至上主義者と座標値絶対主義者という表現を用いられています。今の不動産取引の中で、どこまで今回の指針を解釈していくのか。座標値があったとしても、永久境界標識の設置に対する了解は必要であり、国民は杭をもって安心して生活されているのです。

 

 この座談会において、令和3年10月7日に朝日新聞が掲載された記事に対するコメントはされていません。

ご存知ない方のため、標題と記事抜粋を転記します。

「隣の土地誰のもの? 境界確認なくても売買可能に、来春開始を目指す。」土地を売買するには、対象の土地の範囲を確定させて登記する必要があり…「筆界確認書」の提出を求める運用が定着しており、境界確認の有力な根拠としている…そこで法務省が検討中の案では、国が全国で整備を進めている境界の地図や、精度の高い測量図の活用を想定。…確認書は不要とする。所有者が判明しない場合には、地図や測量図がなくても、以前の所有者のときに作成された確認書でも利用できるようにすることも盛り込まれました。

日刊紙の記事であり、記者の認識は、標題の如く読者へのアピールなのでしょうが、その後日経新聞にも同様な単発記事が掲載されており、この不要話の一人歩きは、連合会によって消火活動のひとつでも必要ではないかと、今でも危惧しています。

 

 アドバルーンを挙げられるのは連合会だけです。

水道橋がオピニオンリードを果たさなければいけません。

法務局、登記行政側、関連月刊誌の船に乗らせていただくだけではなく、国民に土地家屋調査士の有用性、今後どのようなニーズに対応できる業界であるのか、他力本願ではなく、発信する・打ち鳴らし続ける連合会であって欲しいと私は思っています。

 以上、決して批判をアップするような思いのない事を最後に、この章を終えます。 

2023年2月28日火曜日

人口動態統計から、アレコレ想う

 96万人(2000年)〜144万人(2021年)。

この20年で、日本の死者数は1.5倍となり、まだまだ増え続ける見通し。

 葬儀や宗教は、今回、少々横に置かさせていただいて、考えなければならないのが、相続に対する土地家屋調査士の対応。

 戸籍法上、8士業に認められた法定相続情報証明無料発行を、貴会員はこれまでに作成されたことはありますか?

 相続戸籍の職権取得は、登記の依頼がなくても、相続発生があり相続人の一人からの依頼さえあれば、例えば、ゆうちょ銀行の貯金解約をしたいという条件で、土地家屋調査士もその被相続人の住所管轄法務局に、出生から死亡までのフル相続戸籍を提出すると、証明書を、それこそ何通でも無料で発行してもらえます。どうぞ、依頼者からは相当な報酬もいただいてください。

 家族葬、増えましたね。愛知会の会員やご家族の葬儀への参列は、この半年程でようやく出来るようになり、ご連絡を本会事務局でいただくことが増えました。しかし、家族葬で既に済まされた旨の事後報告も、まだまだ半数以上あります。

 当会、元会長 斉藤忠様。そして同じく元会長の滝口孝様の訃報。お2人共に、退会後しばらくしてからの葬儀にて、全会員への案内がなされなかった事は、とても残念です。

 今回は、その後、故人の方々とかつて交際・交流のあった者はどうしたら良いのか? 考えてみます。

 ご家族のお許しを得て、お宅のご仏壇にお線香をあげさせていただくような訪問。どうも、まだ身内以外の往来がためらわれているのが、昨今の状況です。

 観劇や野球、サッカー観戦が、声出し応援もフリーになるというこの3月。果たしてどこまで、コロナとの戦いは引いていったと見ていいのでしょうか。

 

 私直樹は毎月、春日井にある実父、その先代等が眠るお寺、そして、その裏地にある先祖代々の墓に、妻+身内(最近は孫とばかりですが…)と、お参りさせていただいています。父が亡くなって以来9年になりますが、1ヶ月に1度は、車で30分程かけて行かない事には、気分がすぐれません。

 本堂でお参りし、脇にある恐い顔の像の並んだ棚にも、チャリンと100円玉を皆で入れ、裏のお墓にはお水をかけ、洗い、しきびと仏花を飾り、摩訶般若心経をたどたどしく読み上げます。JR中央線近くの吹きっさらしのお墓場は、風が強いとなかなかロウソクに火がつかず、お線香にも火がうつってくれません。

 更に、合葬となった古い墓石の固まりの中に、4代、5代前の伊藤家の先祖名が記された苔むしたものがあって、お水をかけ、線香を灯します。

掌を合わせても、お顔も、どんな方だったのかも全くわかりませんが、明治、慶応の更にその前、200年前の祖先の方々の墓銘であり、◯◯童女と刻まれているものもあります。恥ずかしながら、宗教の事は良くわかっていません。

 中学高校の教科書で­南都六宗を識り、真言、天台、空海、最澄。…弘法大師が日本中に行脚された謂れが残っていると言っても、ホントかなァと言ってる程度の宗教識らずです。

 それでも、土地家屋調査士という法務省資格の貴方も、今一度、相続戸籍取得収集権限のある事を、私と共に考えてみてください。

 国家資格者である以上、この戸籍にかかわる相続・そして所有者不明という、この国の今後の難問に、もっと参画していきましょう。

 お墓参りに行かれていない会員さんは、まずは、そこからです。

……しきびって、識ってますよね?お榊と同様に、お社やお墓に動物が寄ってこないように、強いニオイで追い払う為の役目を務められているんですって。……自分も9年前からの、にわか知識です。

 多死社会・故人の弔いをどうしていくのか?そこまで私達も、お客様と付き合っていきましょう。

 

2023年2月21日火曜日

見返りを求めないことが、人生には必要

 敗北を抱きしめていてはいけない。そんな想いを本当ならば共有すべき先輩が、亡くなられました。

滝口元会長が72歳の若さで逝ってしまわれました。

1月末に斉藤忠愛知会元会長が77歳で亡くなられ、連続して当会会長を務めてこられた先人が、この世から旅立たれたのです。

このブログをお読みいただいたみなさん。

先人が汗を流され、護ってこられたこの業界、制度を、皆さんと共に私も一人の後進として、この先、重い荷物を背中に背負うことになります。

ではこの先、自分は何を・・・。

 

ジャンヌ・ダルク、清少納言、土井たか子。負けず嫌いの女性は、見返りとか敗北とは・・・言わなかったでしょうね。

伊藤直樹。私はこの先、彼女らに見習うことを目指します。

「私は勝ち続けることで成長したんじゃなくて、負けて強くなってきたんです。」これまた、霊長類最強の吉田沙保里さんの言葉です。

 

2月16日。北海道境界シンポジウム。聴講してまいりました。

連合会の未来が見えるかどうか?

6月の選挙で制度の担い手が選出されます。

自分も選択肢の一人。それなりに、65歳。走り続けています。

 

2月13日。「銀河鉄道999」の松本零士さんが旅立たれました。主人公の鉄郎に対してメーテルが・・・「若者はね、負ける事は考えないものよ。一度や二度しくじっても、最後には勝つと信じて。」

65歳は若者・・・か?

2023年2月15日水曜日

人生はオーダーメイド;私の常識?

 この土地家屋調査士業務の有用性を、土地売買の安全取引に生かす。

その為に求められる越境障害物の存在の発見、その処理対処、これら対応を、何故、非弁72条抵触や、司法・行政書士の専管業務との整合性をもって、多くの同輩は恐れるのか?

 連合会では、処理対処を6〜7000名の認定調査士に限って、越境処理合意書に関与できるようにと、資格内に壁を設けようとしています。

 言語道断な施策だと思いませんか?

名古屋でも東京であっても、売買用地の確定測量業務を受託した同輩が、日々、越境処理に、しっかり対応しています。

 

 あっせん、仲裁、和解ギリギリの調整に関して、土地家屋調査士が自信をもって対処していく事に関して、私が、業界の頂きにたつ、たたないに拘らず、当たり前で専管業務と言い切るべきです。

 誰が、土地境界、筆界の専門なのか?その専門家が越境状況についての文書取り交わしを、最後まで責任をもって完結させること。更には、今、宅建業界では当たり前となっている『今般、越境状況(後添現況図説明通り)について、現在のA地所有者とB地所有者が〜といった対処方法にて事後対応する。尚、この合意事項に関しては、双方共に、将来、特定継承、包括継承した者についても継承することについて申し送る事とする』とした、継承条項についても、隣地地権者との筆界確認書をとりつける瞬間に越境が確認されていたのならば、必ず、双方取り交わしにて調印するといった仕事は不可欠であること。

 専門家としての有用性は、住宅、事業用地の売買確定測量、建築敷地確定の測量において、もっと生かすべきなのに、業界内で、特に会の役員が足をひっぱっているような状況が、此の業界の受験者増加のならぬ事。

そして土地家屋調査士事務所の収益アップ、人気資格化の妨げになっていると、私は思います。

 私が営む事務所において、受託する確定測量は全て越境処理、合意書作成が求められ、全てに対応するのが当たり前です。

 更に言わせていただくのならば、越境部分の解消についての工事業者の手配、カット方法や、PCB、アスベスト含有建物解体工事の、ほぼ施工監理の役割を土地家屋調査士がやるべきだというのが、私の本音です。

 その附随業務について、報酬請求していくだけの、常に現地を最も識る関係者こそ、土地家屋調査士ですよ。

 連合会16000名、愛知会1060名。同輩の方々には冒頭の有用性こそが、業界の中興につながるものなのだと、今一度、認識していただきたいと発信いたします。

 

 私のオーダーメイド。・・・では、ありません。

土地家屋調査士全員が、普通に、日常的に行うべき­ルーティーンを、そろそろ、当たり前にしようというチームメイドなのです。この当たり前を理解し、儲け、経営へとつなげていってください。

  

2023年2月8日水曜日

区分所有法改正 Part2

 

 区分所有法制の見直しに関する意見提出依頼。

 連合会2月6日発、9日までに提出とのこと。登記に関連する意見を求められてはいますが、残念ながら、現在、この法制審議会の法制部会には、弁護士会員、司法書士会員の名前は入っているのに、直接、区分登記に係っている土地家屋調査士の名前が入っていません。

 又、区分所有法制部の会議は、令和5年2月13日に開かれるところ、民事二課からは、2月15日までに意見を提出の依頼という期日?

 たしかに、区分所有者間の建替え決議要件や、管理、再生については、原始取得者から依頼を受ける土地家屋調査士が係ることもなかろう、との配意か。

 自分は、分譲事業の企画の段階から、規約づくりや敷地権割合を床面積にかかわらず、階層や分譲価格によって軽重をつける等、関与させていただく事があります。

 これは、司法書士ではなく、土地家屋調査士としての参画です。

 又、管理組合法人化が平成14年に一部手を加えられていますが、ほとんど法人登記化は広がらず、経過年数によっては管理不全のマンションが多くなっている現状、管理組合法人化という途は、この解決につなげられるものと考えています。

 といっても、マンションの法人登記経験は自分も1棟しかなく、全国的に必要とされてきていません。

 区分所有法47条以下、管理組合法人という名称について記され、同法48条2項には、管理組合法人でないものは、その名称中に管理組合人という文字を用いてはならず、違反した時は、10万円以下の過料に処されます(法72条)

 区分所有マンションは、たしかに分譲後は、分譲販売会社は別途管理会社として該当マンションに関与しているケースも多いのですが、区分所有者間のコミュニティーが強いと、結構、自己管理を選択します。その場合、修繕積立金や管理費等の賦課金の徴収がうまくいかず、現実に、安かろうだけでは、管理、再生の出来ない組合となっていきます。

 規約共用部分や、敷地内駐車場、立駐からの収入によって組合の運営を行なっていく、といった現実的な用意をすることなく、新規分譲がなされ、又、投資用マンションやワンルーム分譲にあっては、所有者の責務は希薄とならざるを得ない。

 関与する土地家屋調査士として、社会的責任が少なからずあると思うのですが・・・。

2023年1月24日火曜日

半導体

 今年も、1月成人の日、大塚耕平参議院議員のビジネス・インテリジェント・プロフェッショナルセミナーを受講させていただきました。1月11日の「どうする家康 第1回コメント」でも紹介させていただきましたが、多くの情報を教えていただけるセミナーです。

 自動車半導体、リチウムイオン電池の国際比較。

30年前に全てNo.1。どの分野においても占有率が高かった日本が、昨今、どんどんシェアを奪われてきた様を解説いただくのも、3年連続で悲しい現実を突きつけられました。

 米国とて、中国、台湾、韓国に大切なパーツシェアで劣っているだけに、今後は、現時点で弱小の日本企業の反攻に期待するしかありません。

 

 これほど迄に弱体化した大きな要因は、国内の中小企業優遇だと言い切られるデービッド・アトキンソン氏の分析からすれば、非効率的な産業構造の抜本的改革が出来なければ、いずれこの国は中国の属国になる可能性があると…、私も可能性が高いと思います。

 たしかに大戦後の人口増加時代、団塊の世代がまだ若かった頃、今のインド、東南アジア、ついこのあいだ迄の中国のように、日本の安い労働賃金で国益は守られ、ついに今から30年前にはジャパン・アズ・ナンバーワンに、たしかに一瞬なり、その直後、バブルは破裂しました。1964年(昭和39年)以来の中小企業中心の競争力は既にボロボロになってしまったにもかかわらず、依然として、中小企業経営者の税法と、社員に対する考え方、全く賃上げ等出来る筈のない圧倒的多数の非上場会社は、この先、企業規模を拡大し、働く者、開発する者に今の2倍〜10倍という給与が支払えなければならない……なんて、とても、世の社長は考える事なく、接待交際費を自分の為に費やし、今でもゴルフ場で平日を過ごしています。

 これは、私達土地家屋調査士業界をはじめとする士業事務所にも当てはまるのではないでしょうか。

 事務所オーナーになれば、規模を拡大しなくても、のうのうと一生を、一身専属の資格者である事で食べられてしまう。それは業界を改良しないことで担保されているともいえます。

 労働人口を集約させ、生産性向上を追求し、その為に日本企業は中小零細の統合促進をしないことには、この国難は突破できないとアトキンソン氏は言い切られます。

 それぞれの国内サムライ業界も、役務に就く者達が、自分達の出来るフィールドを守ることに狭く活動するのではなく、この国全体にとって有益な士業の存在に変容していく改革が必要だとアトキンソン氏から言われているように、私は解釈しています。

 

 さて、話は前段に戻しましょう。

 政治連盟のからみで購読している公明新聞1月23日2面コラムには、スマートフォンやパソコン向けの需要が急減。メモリー半導体は2022年後半から供給過剰へ。・・・半導体競争という記事です。

 電気自動車や電流の制御に使うパワー半導体は全くの品不足。トヨタの新車を注文しても減産・・・「納車時期はお応えできません」ディーラーから聴きますよね。

 ロジック半導体といわれる次世代半導体は、台湾のTSMCと韓国のサムスンが独占しています。

 そんな中、バイデン大統領は岸田首相に、先端半導体は高度な兵器にも使われるため、製造装置、素材材料などの中国への輸出規制を強化するよう求めました。

 日本には、シリコンなど半導体素材の世界的シェア第3位の東京エレクトロンも存在します。オランダの半導体製造装置企業世界第2位のASMLについても、ルッテ首相に対中輸出規制を要請。

 これに対し中国は、2030年迄に半導体そのものの自給率を、現在17%(2021年)から75%にする目標を掲げています。

 その為に国内半導体産業に1兆4000億ドル(約152兆円)を投じます。

 米国もこの競争に後れを取らないよう、2022年8月に7兆円規模を投入。

 日本でも2022年、トヨタ自動車やソニーなど、国内主要企業が73億円を出資して、新会社「ラピタス」が設立された事は、日本経済新聞、大塚セミナーでも大きく取り上げられました。

 2027年に(ようやく…)次世代半導体の生産開始を目指すと。

国は官民挙げて後押しするため、同社に700億円の補助金を出すそうです。

 

 よろしいですか? 対比金額がこの様です。

 

中国152兆円:米国7兆円:日本700億円

2171 : 100 : 1

  ものづくり大国・日本の再興とは?

 ラピタスのシェアは?

土地家屋調査士、業界73年目の中興はどうか・・・なしえるか?

 

 新年1月の伊藤直樹、今、私達の業界も、他に比べ上述の比率と同じような労力の注ぎ方をしているのではないかと、73年を想うのです。