2024年8月29日木曜日

技術者のベテランとは?

 朝日新聞8月28日朝刊。一面の折々のことば、鷲田清一VOL.3188より。

  腕を頼りに現場から現場へと渡り歩き…若い人に技術を教えて尊敬を集める。当然、相当の報酬も取るし、定年もない。

山本理顕。

 

 建築業界で技術力に陰りが見えるのは、経費削減のため熟練職人が低賃金労働者に入れ替えられてきたからだと建築家は指摘する。彼らの雇用環境の改善と専門集団としての自立が急務だと。

 派遣労働者も、学者や芸人も、渡世の人として歯に衣着せず政治に物が言える存在であるはずなのだ。

~「中央公論」9月号でのインタビューから~

 

 以上、全文のまま引用させていただき、私達 土地家屋調査士に照らして私見を述べます。

 昨日28日夕方、梅村会長とCPDについて少々語る時間をいただきました。PDとは、技術者の継続的な専門教育であって、職業スキルの向上をはかるもの。目に見えにくいスキルや、自己研鑽の客観的な評価を目的とし、その目的の狙いは、公共団体・行政が、入札における参加資格審査、入札業者の総合評価における配置技術者の加点について、CPDを利用することに絞られます。

 公共事業の入札参加は、客観的な企業評価である。

 経営事項審査の項目には、基準日前1年間における建設業者に所属する建設技術者のPDの取得状況の評価が新設されているわけです。

 履修証明を得ていない土地家屋調査士は、入札に不利です。

…でも、民間の仕事受注が9割以上の16000人に、何の目的があるのか

 入札発注の公平性を担保する目的で、測量設計業界が行政側にCPD単位をもって、カルテルとは申しませんが、入札結果について、発注者側に安心感を与える為のカムフラージュ?…とまでは言うと、削除させられますかね??

 

 梅村会長に、この連合会CPDシステムに乗るのは愛知会の定例研修受講記録、単位取得を便利に記録、そして公開も出来るようにするシステム流用なのですか…と、尋ねたか、否か…。

 

 PDについて、20年前現職役員、そして連合会理事職にあった私は、本来のPDは、土地家屋調査士の継続的スキルアップに用いるのに対し、教育内容、研修側の充実もないのに、発展途上でもない70年余の此の、妙に落ち着いてしまった資格者団体の、何の為になるのか

本来のCPDは、建設・測量系業界のPDであって、20年前も今も、土地家屋調査士には全く馴染めない、会務、無理矢理な取り組みなのではないかと、恥ずかしい思いを抱きます。

 

 誤解を招きかねませんね。

 ベテランが能力があって、新人、5年目、10年目は駆け出し…などという事を言っているのではありません。

 会務は、私達をご利用いただくユーザーの為にあるのであり、全資格者の保全を果たすものではなく、但、研鑽したい会員には、思い切りスキルを与えられる環境を整備すべきものです。

 仕事の受注に、つまらん接待ゴルフや飲み営業ではなく、研修受講回数の情報オープンを、否…などと言うつもりはありません。営業、接待も絶対にダメとも言いません。

 要は、皆に仕事がそれなりにあって、それなりの生活が60才、70才となっても出来るなら、今回の議論はいらないでしょう。

 

 エッ、入口が違いますよね。つまり、食べるパイが減少してきた業界は、誰かが一人占めしないように、ちゃんと真面目に研修受講している会員に高得点をつけて、HP公開して、一般市民からの仕事の依頼がPD結果によって均等にならないでしょうか?って、議論なのでしょうか?

 つまり、一般市民へのCPD単位取得状況の公開は、会務として本当に必要、且つ重要なものでは全くないという事です。

 

 愛知会1060名は、公嘱協会業務も含め、全国50会中、1人あたりの仕事量に恵まれているのも事実です。

 他の49会において、PDシステムが何か成果を産んだことが、この20年間あったのか?私は少なくとも、このシステムがとても良かったという単位会役員の自慢を聞かせていただいた事はありません。

 業界として平成14、15年の街区基準点、基準点測量を必須とすることになるという混乱の中で、測量技術系PDを土地家屋調査士は採用したら、測量士が行える基準点使用の権限を、国土地理院も認めてくれるのではないか、といった混迷の中で、土地家屋調査士のPDはスタートしたのです。

 もう一度、愛知会は、現日調連推奨PD単位公開システムを拒絶するか、利用したとしても早々に研鑽対象の探求、研修内容の充実、低い平準化ではなく、皆が国民に求められうる職業スキルアップに対し、向かっていく事が本当は必要なのだと言う真実を、表します。

 

 このブログを読んでいただける愛知会会員はどうでしょう?100名?いないのかも。

 私の偏った主張ではなく、PDと愛知会土地家屋調査士会員としての利用方法を冷静に見つめていただく為、少なくとも、心ある同輩の方々に、心ある理解が広まる事を希みます。

2024年8月21日水曜日

CPDを想う。何が必要で、何が不要か・・・

 何故、土地家屋調査士法は、ADRという民間紛争解決制度への参画を得られたのか?平成16年、総合法律支援法が公布された頃、日本国内外の社会経済情勢の変化に伴い、弁護士オンリーではない隣接法律専門職能者によるサービスを、より身近に受けられるようにする為、各士業根拠法に手が入りました。

 総合法律支援、その情報提供の充実強化態勢をつくる。法テラスも、その代表的なものです。

 

 あれから、ジャスト20年が経ちました。

 社労士、司法書士等が一定の態勢を設け、活躍フィールドを得た事と比べ、我々土地家屋調査士は、ADRをどう扱っていますか?

内部資格制度的45時間考査修了者の舞台作りは、20年経過して、どうなっていますか?

 CPD制は、各会HP、そして日調連HP上に、1人毎の研修受講点数公開をすることのみ、20年近く躍起になっている現状。何か成果は見出せたでしょうか?

 CPD評価は結局、公共事業入札の際の業者得点比較の材料以上のものではないにもかかわらず、これを業界のメインテーマに掲げている我々…何をやっているのでしょうね。

 30年余。公嘱協会事業受託スタイルは、十分に他士業と比べ成果を見出しているところ、何が○で、何が×か。

 是非、唯一、CPD制を不採用としてきた愛知会において、我々の業界の将来をしっかり見つめ直す事が必要です。

 

 私は、ADRをゼロシーリングし、本試験に憲法課目のみならず、時効、所有者不明に係る非訟事件の管理人制度等、裁判ルールを組み込んでもらうべきという提案をします。

 そして、公嘱協会の随契、入札、いずれについても、法務省、国交省、農水省に土地家屋調査士の優位性を語る連合会の存在を期待します。

 CPDは不要です。無駄なルールは廃止し、やらねばならない国民のニーズに応える事を優先しなければ、我々の業界に明日はありません。

何が○で、何が×か。

 

 皆で考えてみるべき重大なテーマではありませんか?

2024年8月14日水曜日

CPDは✖

 令和6年8月、自分は67歳になり、土地家屋調査士資格登録から41年を越えることとなった今、愛知会執行部において、危ない検討がされているようで、とても心配です。

 老害、と言われても構いませんが、根本的に愛知会にとって、又、全国の土地家屋調査士のあやまちを是正しなければならない。この事には真剣にメスを入れさせてもらいます。

 CPDは、測量、設計業界を中心に、各資格保有者に得点・取得単位をノルマとし、継続教育制度として、既登録資格者のバージョンアップを計ろうという制度です。

 かねてより注目してきたのは、日本公認会計士協会が資質の維持、能力の向上を図るため、最新の知識及び技能の修得に努める担保=会計士CPDという取り組みです。平成14年4月から義務付けられています。更に税理士業界では、平成27年度から年間36時間の研修を受けることが義務化されていますが、これをもって土地家屋調査士もCPDが必要だとは、全く、説得力がないことを説きます。

 税法は、毎年、必ず改正されるものです。当該業界には必要な事ですね。­­­自明の理です。

 さて、測量設計業界のCPDは、最新技術の習得でしょうか?

 平成14年頃、私達、土地家屋調査士業界は、測量技術、基準点測量や国家座標に基づく測量成果を目指しました。

 小泉政権の平成検地によって、DVD地区、街区基準点との取り組みが絶対的テーマとなり、私自身も連合会理事に平成15年から就かせていただいて、此の測量士指向オンリーの連合会指向は間違いであると、指摘をし続けてきました。

 ガラッと視点を変えます。

 弁護士も司法書士も、CPDとは無縁です。しかし義務研修は目指します。4年前から日調連も義務研修をルール化しました。これは良いと思い、今年も5年目の愛知会義務研修の講師を務めさせていただく事に、力を充填しているところです。

 これは正解だと思っています。

 しかし、今回の愛知会が、CPDを他会がやっているから、やっぱり愛知会も右に倣えとしようとするような議論を理事会等でしている事を識りました。

 全く馬鹿げた事です。且つ、CPD得点(定例研修受講ポイント集積点数公開)で、5年に一度、ようやく義務研修を始めた当業界の次の5年間に、CPDクリアしたら出席しなくても良いとする特例?を作るために、CPD採用も良いのでは、などという発想は、土地家屋調査士の将来を危うくします。

 義務研修未了は、戸籍、住民票等の職務上請求権用紙の購入が出来なくなるだけです。正直、それが唯一のハードルです。

 定例研修出席や、役員歴や、レポート提出等のCPD得点によって、義務研修に参加しなくても良いという理由を、役員の皆さんが、まともに、それで良しと議論しているのなら、全面的アウトです。

 愛知会が唯一、CPDルールを採用せずに既に20年余。

 全国49会が流されて、CPD得点をホームページに公開し、有力な調査士を、ユーザーに選択いただく制度?

 全く、土地家屋調査士には不要な制度である事を、16000人が気付き、全面廃止へと復旧すべき…との伊藤直樹の考え方です。

 間違った無意味なCPD単位公開制度を、愛知会は絶対に止め、全国の制度参加はいずれ廃止するのが、この業界の為です。

ご検討ください。