2023年1月24日火曜日

半導体

 今年も、1月成人の日、大塚耕平参議院議員のビジネス・インテリジェント・プロフェッショナルセミナーを受講させていただきました。1月11日の「どうする家康 第1回コメント」でも紹介させていただきましたが、多くの情報を教えていただけるセミナーです。

 自動車半導体、リチウムイオン電池の国際比較。

30年前に全てNo.1。どの分野においても占有率が高かった日本が、昨今、どんどんシェアを奪われてきた様を解説いただくのも、3年連続で悲しい現実を突きつけられました。

 米国とて、中国、台湾、韓国に大切なパーツシェアで劣っているだけに、今後は、現時点で弱小の日本企業の反攻に期待するしかありません。

 

 これほど迄に弱体化した大きな要因は、国内の中小企業優遇だと言い切られるデービッド・アトキンソン氏の分析からすれば、非効率的な産業構造の抜本的改革が出来なければ、いずれこの国は中国の属国になる可能性があると…、私も可能性が高いと思います。

 たしかに大戦後の人口増加時代、団塊の世代がまだ若かった頃、今のインド、東南アジア、ついこのあいだ迄の中国のように、日本の安い労働賃金で国益は守られ、ついに今から30年前にはジャパン・アズ・ナンバーワンに、たしかに一瞬なり、その直後、バブルは破裂しました。1964年(昭和39年)以来の中小企業中心の競争力は既にボロボロになってしまったにもかかわらず、依然として、中小企業経営者の税法と、社員に対する考え方、全く賃上げ等出来る筈のない圧倒的多数の非上場会社は、この先、企業規模を拡大し、働く者、開発する者に今の2倍〜10倍という給与が支払えなければならない……なんて、とても、世の社長は考える事なく、接待交際費を自分の為に費やし、今でもゴルフ場で平日を過ごしています。

 これは、私達土地家屋調査士業界をはじめとする士業事務所にも当てはまるのではないでしょうか。

 事務所オーナーになれば、規模を拡大しなくても、のうのうと一生を、一身専属の資格者である事で食べられてしまう。それは業界を改良しないことで担保されているともいえます。

 労働人口を集約させ、生産性向上を追求し、その為に日本企業は中小零細の統合促進をしないことには、この国難は突破できないとアトキンソン氏は言い切られます。

 それぞれの国内サムライ業界も、役務に就く者達が、自分達の出来るフィールドを守ることに狭く活動するのではなく、この国全体にとって有益な士業の存在に変容していく改革が必要だとアトキンソン氏から言われているように、私は解釈しています。

 

 さて、話は前段に戻しましょう。

 政治連盟のからみで購読している公明新聞1月23日2面コラムには、スマートフォンやパソコン向けの需要が急減。メモリー半導体は2022年後半から供給過剰へ。・・・半導体競争という記事です。

 電気自動車や電流の制御に使うパワー半導体は全くの品不足。トヨタの新車を注文しても減産・・・「納車時期はお応えできません」ディーラーから聴きますよね。

 ロジック半導体といわれる次世代半導体は、台湾のTSMCと韓国のサムスンが独占しています。

 そんな中、バイデン大統領は岸田首相に、先端半導体は高度な兵器にも使われるため、製造装置、素材材料などの中国への輸出規制を強化するよう求めました。

 日本には、シリコンなど半導体素材の世界的シェア第3位の東京エレクトロンも存在します。オランダの半導体製造装置企業世界第2位のASMLについても、ルッテ首相に対中輸出規制を要請。

 これに対し中国は、2030年迄に半導体そのものの自給率を、現在17%(2021年)から75%にする目標を掲げています。

 その為に国内半導体産業に1兆4000億ドル(約152兆円)を投じます。

 米国もこの競争に後れを取らないよう、2022年8月に7兆円規模を投入。

 日本でも2022年、トヨタ自動車やソニーなど、国内主要企業が73億円を出資して、新会社「ラピタス」が設立された事は、日本経済新聞、大塚セミナーでも大きく取り上げられました。

 2027年に(ようやく…)次世代半導体の生産開始を目指すと。

国は官民挙げて後押しするため、同社に700億円の補助金を出すそうです。

 

 よろしいですか? 対比金額がこの様です。

 

中国152兆円:米国7兆円:日本700億円

2171 : 100 : 1

  ものづくり大国・日本の再興とは?

 ラピタスのシェアは?

土地家屋調査士、業界73年目の中興はどうか・・・なしえるか?

 

 新年1月の伊藤直樹、今、私達の業界も、他に比べ上述の比率と同じような労力の注ぎ方をしているのではないかと、73年を想うのです。