令和2年2月10日、東京千代田区麹町にて、地域科学研究所による、課題の先駆自治体にみる整備計画づくりと推進実務を、小生一名にて受講してきました。
10時より16時30分迄、全国の行政担当者30名余と地方議員が参加し、過日、あいち境界シンポジウムにパネラーとしてご参加いただいた株式会社首都圏総合研究所代表の井上隆氏による建築基準法そのものの解説から実態、全国的な行政の問題点の講義より、始めていただきました。
指定道路台帳整備として、行政側手持ちの現状の全ての道路を、指定の種類、指定年月日、指定道路の位置、延長及び幅員を公告する台帳情報を、平成21年より整備に取り組む世田谷区の状況は先駆的なもので、国の同年度に創設された「狭あい道路整備等促進事業」を上手く利用されているよう。
指定道路図、調書を、法に基づく閲覧対象図書として位置付け、一般の方へも窓口公開までされており、私人の権利義務に深く関係する、いわばハザードマップが出来上がっています。
当然、東京23区内の土地取引には、多くの区が自主的に作成するこの調書等が利用されており、愛知県内、例えば名古屋市のように道路整備の進んでいる都市では考えられないくらいに、位置指定道路や私道といった狭あい道路以前の劣悪な接道の報告を、続く練馬区、足立区、都内23区の西側に接する武蔵野市の3者より伺うこととなりました。
井上氏は、杉並区、横浜市が近年改正した条例を用いて、相当に強い行政の意思をもって解消に取り組んでいる実情と共に、大阪市、名古屋市の限られた対象区域に限った要綱による事例、更には大阪、法善寺横丁の連担建築による建替ルールによる再生等のレアケースについても触れられました。
京都の祇園町の歴史的細街路、東京都中央区月島の3項道路に、道路後退を緩和してでも、兎も角、古い木造家屋を建て替えてもらうよう、誘導していかざるを得ない密集地は、全国的にも多くみられるといいます。
時間が足りず、井上氏の講義は、当日は尻切れトンボ。
是非、長編で再度伺いたいと思います。
1.自治体の報告。練馬区の実情。正直、住みたいとは思えない不接道宅地だらけ。2項道路どころか、43条1項但書による、仕方無いから許可する2.7m。3.6m幅員で条件を緩和しても、3.6mにすら拡幅に応じない地権者のワガママを許容するといった有様だが、上述のように、まずは耐震建物に建て替えてもらうことを優先せざるを得ない既存密集低層住宅だらけの74万人区。
区内の4m以下道路率も36.9%・・・・。ドン突きの位置指定道路を出来る限り建築可としている有様に驚かされました。
2.足立区。現在人気第3位の住みたい区。北千住、犯罪が多いとレッテルを貼られた西新井警察管区・・・・マスコミのでっち上げだそうです。しかし、日光街道(国道4号線)沿いの千住宿の古い街並みには、無接道家屋が7000棟?!
細街路と呼称した狭あい解消事業は、都内でもかなり業績を上げてはいるようです。
この建築室開発指導課長さんがなんと、足立区内の細街路整備は東京土地家屋調査士会足立支部のみなさんの営業活動なくしては、とても進められるものではない…と報告されたのです。
区役所職員は、どのような整備をするのか。後退ラインをどうするのか。L字溝等をどう施工するのか、といった対応に追われる中、調査士が地権者や隣地へのアプローチも全て対応しているとのことでした。
是非一度、実際の活躍ぶりを取材してきたいと思いました。
3.武蔵野市。これまた、開いた口がふさがりません。
全市内の道路の内、7割が私道だそうです。ほぼ全て、幅員にかかわらず、市が管理しています。
狭あい道路拡幅整備のやり方に、他にはない幾つものアイデアが活かされていました。
3ヶ所共、まずは防災、減災の観点から、4m以上の公道からなんとか消防車のホースが届く100m以内にメッシュをきって、出来るところから狭あい解消を長期的に行っていくという東京都事情を共通の考えとして、各行政が取り組み、なんとか最小限に首都直下型震災の発生時被害が抑えられないか・・・・と語られるも、土地地価の高さ故に、スピードの上がらない土地所有者の非協力という実状が記憶に残る研修会でした。