2020年2月12日水曜日

筆持活用の新たなメニュー


 土地基本法の改正案が、国会で審議されています。
 かつて、バブル崩壊した平成の始め。土地の投資対象の財ではなく、利用して初めてナンボのものとした同法を、今回は土地所有者に対し、利用だけではなく応分な管理責任を負担してもらうという主旨の改正をすすめます。
 土地は、投機的取引の対象としてはならない(現行4条)に、円滑な取引等として、『土地は、土地の所有者又は土地を使用収益する権原を有する者(以下「土地所有者等」という。)による適正な利用及び管理を促進する観点から、円滑に取引されるものとする。』と、うたわれます。
 そして、新設第6条第2項にはこの条項が入ります。
『(土地所有者等の責務)土地の所有者は、前項の責務を遂行するに当たっては、その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。』
 矢張り、国交省の法律条項なので、筆界ではなく境界の明確化です。
 更に、第13条第1項では・・・
『国及び地方公共団体は、前条第一項の計画に従って行われる良好な環境の形成又は保全、災害の防止、良好な環境に配慮した土地の高度利用、土地利用の適正な転換その他適正な土地の利用及び管理の確保を図るため、土地の利用又は管理の規制又は誘導に関する措置を適切に講ずるとともに、同項の計画に係る事業の実施及び当該事業の用に供する土地の境界の明確化その他必要な措置を講ずるものとする。』

 国土調査促進特別措置法の改正案の中で、第7次十箇年計画がうたわれます。
第3条第2項
『国土調査事業十箇年計画は、土地基本法(平成元年法律第八十四号)第二十一条第一項の土地基本方針に即し、かつ、防災に関する施策、社会資本の効率的な整備に関する施策、都市の健全な発展と秩序ある整備に関する施策その他の関連する施策との連携が図られるとともに、国土調査事業の迅速かつ効率的な実施が確保されるように定めなければならない。』
 今度は、国土調査法の改正条文です。
第22条の2(街区境界調査成果に係る特例)
『~中略~ 事業計画に基づいて地籍調査を行う地方公共団体又は土地改良区等は、当該地籍調査を効率的に行うため必要があると認めるときは、一の街区(住居表示に関する法律(昭和三十七年法律第百十九号)第二条第一号に規定する街区をいう。以下この項において同じ。)内にその全部又は一部が所在する一筆又は二筆以上の土地(当該街区外にその全部が所在する土地(以下この項において「街区外土地」という。)に隣接する土地に限る。)について、その所有者及び地番の調査並びに当該一筆又は二筆以上の土地と街区外土地との境界に関する測量のみを先行して行い、その結果に基づいて地図及び簿冊を作成することができる。』

 この関連法案改正として不動産登記法第131条2項が新設されます。
『地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等のうちいずれかの者の同意を得たときは、筆界特定登記官に対し、当該対象土地の筆界(第十四条第一項の地図に表示されないものに限る。)について、筆界特定の申請をすることができる。』
 この条項の解釈としては、市町村が地籍調査を行う場合に限定されるのか、公共事業用地の買収時に、対象土地の隣地土地との筆界特定迄、広範囲に申請ができるのか、まだはっきりしていません。
 測量コンサル業界として、まさか、市町村の発注をうけ、筆界特定申請を業として受注できるとは思えません。
 土地家屋調査士が、先ずはその申請を代理できるとする回答は、民事局としても、返してくれるとは察します。
 公嘱協会が代理して行う。業務として随意契約、公共調達がなしうるものか。ゆっくりと試行していただけるよう市町村へのアピールを、法務省より発せられるのをお待ちしましょう。