2019年8月15日木曜日

お盆にて


 南の島へ、台風を気にしながら、孫と一緒に家族旅行。時間の合間に読んでいた雑誌で、安岡正篤師の令孫、安岡定子さんの「こども論語塾」のインタビュー記事にふれました。 
 安岡先生は、昭和そして平成の元号の名付け親とも。そして日本の近代、多くの政財官界の指導者層の啓発、教育、指導に力を注がれた陽明学者です。
 定子さんの肩書は「こども論語塾講師」とあり、全国20ヶ所以上で定例講座を開いて、幼い子を対象に先賢の言葉を口ずさみ、驚くべき成長を見守っているといいます。

 2歳くらいで、論語の言葉を何も見ないで言えるようになる。早くから皆に交じって素読する音の波の中に浸ることによって、論語が沁み込んでいくというのです。
 聞くということが、いかに重要かということを物語っています。
 例えば、いきなり論語の話から始めるのではなく、季節の話や年間行事の話から始め、5月だと「なぜ、鯉のぼりだと思う?他のお魚でもいいんじゃないの?」と子供たちに問いかける。そこから、昔中国の黄河に、竜門という大きな滝があって、そこを登り切った鯉は、鱗が光りはじめ、竜になるという伝説を紹介し、鯉は健康、強さを象徴しているところから、鯉のぼりが始まったことや、そこから派生した登龍門という言葉について話す。

 一見、難しく感ずる話も、子供達は面白がって聞いてくれ、そのうち先回りをするようにもなる。 相手が小さな子だから、こんな話は無理とは考えないで、どんどんお話しするようにしています…と。
 「故きを温ねて新しきを知れば、以って師と為るべし」(ふるきをたずねて・・・もってしとなるべし)
 昔の人の考え方や生き方を学んでから、自分のやるべきことに取り組む人は立派だ・・・けれども、それだけではお子さんはピンときません。
 まず「皆にとって故きものは何ですか?」。すると子供は、おじいちゃんとか、赤ちゃんの時に使っていたおもちゃ。少し大きくなると、織田信長のような歴史上の人物を挙げる子もいるとか。刀、思い出、アルバムって言う子もいます。 そこで「皆が言ってくれたものが、全部正解です。故きものは、いっぱいあります。人や物。歴史そのもの。人の考え方や生き方までも、一度見直してみましょうって、孔子先生は言っているんですよ」と。 
 学んで時に之を習う、亦、悦ばしからずや。
 朋有り、遠方より来る、亦、楽しからずや。
 人知らずして慍らず、亦、君子ならずや。

まなんで、ときにこれをならう、またよろこばしからずや。ともあり、えんぽうよりきたる、またたのしからずや。
ひとしらずして、いきどおらず、またくんしならずや。

・・・親子で味わって欲しい「論語の言葉」。

 勉強。古典を深く学び、実践すること。子供にも、自分の同職の皆さんとも、今一度、考えてまいります。