明示的なデータ、手法、そしてマニュアル。
このようなアプローチにおいては、経験や五感から直接的に得られる無意識や、言語化が難しい「暗黙知」は重視されない。それは形式知というアプローチか。 暗黙知とはいわば、「今、ここ、私だけが」経験している全人格的な知識であり、現場の文脈に深く依存する。信念やものの見方、価値観といった無形の要素を含んでおり、主観から新たな意味づけ、価値づけが行われます。
つまり、暗黙知から出発しなければ、新たな知識を創造することはできない。そして、形式的な数字を意識ばかりしてしまうと、カイゼン思考に陥り、本来の競争力の源泉である新たな付加価値をもたらす飛躍的な発想が生まれず、創造的なイノベーションが起こせなくなります。
人は生来、意味づけと価値づけを探求します。理念化、数学化された自然科学が前提にする客観的事実は、とりあえずカッコに入れて、自分自身が直接経験している生き生きした多様な感覚に集中し、その本質を、過去、現在のあらゆる経験や知識、未来予測能力を総動員して概念化する。そこから他者との相互理解を通して、普遍化を目指すことが重要です。
・・・・・これは、一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏の、JR東海誌ウェッジ8月号に寄稿された、バブル崩壊後、日本企業の活力を奪ったものは何だったのか、という文面からの抜粋です。
暗黙知的アプローチに続いて必要なのは、実践知。
① 善い目的をつくる能力
② ありのままの現実を直感する能力
③ 場をタイムリーに作る能力
④ 直観の本質を物語る能力
⑤ 物語りを実現する能力
⑥ 実践知を組織する能力
自省してまいります。