2021年7月2日金曜日

プレカット難民

 ウッドショック、わかりますか?

 このコロナ禍により、米国、中国の住宅取得が活性化し、世界的なコンテナ不足が拍車をかけ、世界中で木材を奪い合う中で、日本が建築用資材を買い負けています。

 

 輸入材価格はこの半年で1.5倍となり、つられて国産材も急騰しています。

昨年春にはトイレが入荷されず、国交相から衛生機器が設置されていない住宅の検査済証を発行すること、及び、表題登記を法務局で新築認定しても構わないといった通知が発せられましたが、今度は、北米材等が輸入できない事から、工事を一時中断する事態によって、住宅関連企業の業績が悪化。

 

 日本総合研究所では2021年6月に、2021年4〜9月の新築住宅着工戸数が前年同期に比べて5万7000戸減少するとの試算を発表しました。

 

 建築用の木材を切り出す事を、プレカットといいます。

 大手メーカーは、1戸あたり数十万円の値上げ。調達力の弱い中小工務店では、工期が確定しない、請負金額では採算割れをする、いわゆるプレカット難民が発災しています。

 

 東南アジアや国産材では躯体に適した木材の固さが不足し、中には、施主の知識不足につけこんで、工務店側で勝手に樹種を変えてトラブルとなり、建物表題登記をしようにも、引渡証明の発行を業者が拒み、最終金の支払いに関して弁護士をたてるという事案に、今、遭遇しています。

 折角の新居への引越しをされた老夫婦にとって、今後のメンテナンスを頼む事も出来ず、不安な日々となっています。

 

 かつて、木材自給率95%を確保していた我が国ですが、30年前のバブル期以来、一時20%を切ったものの現在では30%台です。又、柔らかい国内材は柱や梁に、性能上、適していません。

 国土の67%が山林の日本。林野庁の調査では、1980年に14.6万人だった林業従事者数は、2015年には4.5万人と7割が減少。そして65歳以上は25%で、全産業平均13%の2倍という高齢化状態です。

 土地家屋調査士として、知っておいていただきたいコロナ禍です。