2019年11月29日金曜日

共同事務所における規律

 複数の弁護士が法律事務所(弁護士法人である場合を除く)を共にする場合において、その共同事務所に所属する弁護士を監督する権限のある弁護士は、所属弁護士が職務基本規程を遵守するための必要な措置をとるように努める。
 
 所属弁護士は他の所属弁護士の依頼者について、執務上知り得た秘密を、正当な理由なく他に漏らし、又は利用してはならない。その共同事務所の所属弁護士でなくなった後も、同様とする。
 
  これは平成16年に定められた弁護士職務基本規程の第7章・共同事務所における規律、第55条と第56条です。

  現在、土地家屋調査士法では、法人の使用人調査士が法人に対して協業避止義務を負っている事には触れていますが、個人土地家屋調査士の共同事務所、又はJVについて、どこにも定義はされていません。
 先般来、法務省の14条地図作成業務の入札に関して、諸々調べる立場を務めることで、今更ながら入札公告を読み直してみて氷解しました。
 ・ 公共嘱託登記土地家屋調査士協会、土地家屋調査士法人、又は土地家屋調査士のいずれかであること。
 ・ 土地家屋調査士にあっては連帯して請け負い、その代表者が応札すること。
 法務省は、個人調査士のJVをもって一般競争入札に参加する場合、一カ所の事務所でも各別の事務所であっても、代表者に対して発注することを想定しています。

  代表者がその名で納品し、連帯して業務に参加した他の資格者は、作業に応じた報酬を代表者に対して土地家屋調査士として請求し、領収する。

  現在、JR東海のリニア新幹線を受託団として愛知県内30名余の会員が、JVで業務処理中のところ、とても慎重に、全員が個別に、同社の経理に対して請求、領収し、源泉所得税処理を行っていただていますが、法務省の理屈では、代表者が一人領収して、その後で業務処理作業量に応じた報酬を清算処理しても良いことになっていた訳です。

  この解釈について、今回の土地家屋調査士法改正により認められた一人法人に関して連合会は、法人化を助成するのかどうか、姿勢を固めなければなりません。
共同事務所と複数の資格者による法人のいずれかを選択する時、代表社員一人で他の法人支配下の使用人調査士という組み立てもありとすると、事業の継続性は認められないから法人化がベターであるという考えには、自分は同意できないと思っています。
 弁護士、司法書士といった他士業では、元々共同事務所は否定されず、上述の如く規定もされています。
 土地家屋調査士業界における法人化は、15年経過して全国に400社余り。愛知会では全国で2番目に多い50社を数えます。
 法人はその法人内の資格者間で顧客の個人情報が共有が出来、個人の共同事務所では共有不可なので、父と子の間でも、個人情報や業務成果は継承出来ないという考え方は、どこに根拠があるのでしょうか。
 本件について、全国の同輩からも、おいおいご意見をあずかりたいと思います。