会長発 平成29年8月
不動産の表示登記を代理申請できるのは、土地家屋調査士だけですが、土地家屋調査士は、表示登記を法務局に申請するだけの資格者ではありません。
今回はこのことについて、会長としての私見を述べさせていただきましょう。
私共が立脚する土地家屋調査士法(昭和25年7月31日施行)の第3条には、法務省に監督される資格である以上、土地家屋調査士の独占業務領域は登記申請を目的とした業務に限定され、狭義の業務範囲がうたわれています。
法解釈上、これはこれで当然のことであると理解しています。
私自身、年間、自分の職印を押印し、世に提出させていただく確定測量図と、同じく職印を押印し、法務局に成果提出し、登記を完了させる業務を行っているのですが、登記に関しない確定測量図を、直近では全体の6割以上を納品しています。
この文章をお読みいただく国民・市民の方々は、既に土地家屋調査士のことを少しでもご存知の方々かと察します。そして、私共の業務が、街中の土地売買やご自宅の敷地確定、アパート事業用の敷地確定において、なかなか活躍しているではないじゃないか、と認識していただいているのではないかと察します。
現在、愛知県土地家屋調査士会は、現実に国民・市民のみなさんに必要とされている仕事をしているという自負と、今従事している業務に対する責任をキチンと果たしたいと、真剣に考えています。
現実に土地家屋調査士は、愛知県内ほぼ全ての市町村に事務所を構え、存在しています。そして、国民・市民のみなさんが所有されている不動産をやはりほぼ99%、少なくともこの地元にて、私共が資料調査をし、測距し、記録の上、成果図書を納めさせていただいています。他の資格者ではなく土地家屋調査士がほぼ99%行っているのが実情です。結構、土地所有者のみなさんには、勝手ながら周知いただいているかと察します。
それでも土地家屋調査士というネーミングは売れていません。弁護士や司法書士より資格の名前が売れていないことが淋しい!
このホームページをお読みいただいているみなさんには、おぼろげながら、私共の土地家屋調査士像は伝わっていますか?
恥ずかしながら、昭和25年に法に立脚し、私共の制度が発足以来67年もの間、無名の国家資格者集団だったのかもしれません。
30代、40代の頃の伊藤直樹は、この愛知会、又は全国組織の日本土地家屋調査士会連合会において土地家屋調査士広報に努めてまいりましたが、どうやら売り込みは十分でなかったようです。
もう一度、私共の仕事をご紹介します。
私共は、日々、土地の歴史の調査をした上で、土地を測量しています。建物も、測量と所有権原調査の上、成果をご報告します。
一部は法務局に登記申請をします。こだわりますが、県下全般で土地家屋調査士が行う業務の半分は、登記関連です。しかし残りは登記申請を伴うことなく、依頼者の方々に成果をお届けし、報酬をいただくのが私共の業務です。そして登記申請の有無で、業務の質を変えないことが、土地家屋調査士に課された使命なのです。
これが現実である以上、法務省に対し早々に私共の法律上の業務範囲を正しく理解してもらい、実務上受け入れられている経済取引としての、土地家屋調査士の日々の業務を受け入れていただけるよう、地道に法改正等々の運動を行っていることもご案内してまいります。連合会では、法務省だけでなく国土交通省やその他関連団体にも真摯にアプローチをしてくれています。
愛知県土地家屋調査士会は、まじめに自分達が仕事を完遂し、法的根拠についても必ず国民・市民のみなさんのご了解がいただけるよう、これからまだまだ頑張るしかないと思っております。
みなさんのご理解とご支援をお願いいたします。