2018年3月15日木曜日

遺言書の保管等に関する法律(案)


 今回の民法相続編の改正は、40年ぶりです。今、国会にて成立予定です。

 私共土地家屋調査士には、直接関係は薄い遺言作成について、法務局が新たな仕事を抱え込むことになります。昨年5月にスタートさせた法定相続情報証明制度どころじゃない、大仕事です。

 公正証書遺言を作成することが万人に普及しないのならば、平易に法務局に自筆証書遺言を預け、全国どこの法務局からでも画像で保管する。

遺言画像データを原本証明してもらい、家裁をはさむことなく銀行預金や不動産名義変更を、この新方式の自筆証書遺言に基づいて遺産整理を行うことができる。

 

公正証書遺言作成と、どこが違うのでしょうか?

 

~ 内容を覗いてみましょう ~

●「遺言書保管所」=法務局

  法務事務官が「遺言書保管官」となり、事務処理にあたる。

● 遺言書の保管を申請したい者は、その住所地もしくは本籍地、又はその者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局に対して申請をしなければならない。

  しかし、遺言者が既に作成した他の遺言書が法務局に保管されている場合には、その法務局に対して申請することになる。

● 相続人等は、自分に関連する遺言書を法務局が保管しているかどうか、保管している場合の法務局の名称などを証明する書面を請求する場合、遺言書に係る画像情報等を証明した書面を請求する場合は、現に遺言書を保管している法務局以外に対しても請求することを可能とする。(但し、遺言者の生存中は不可。遺言書の閲覧請求だけは、当該保管法務局のみ)

● 保管するときの申請費用。閲覧や証明書交付請求には、別の政令で定める手数料を、収入印紙を貼って納める。

● 遺言書の紛失が防止できる。保管所に存在していることを把握できる。法務局事務官が遺言書の適合性を外形的(?)に確認した上、遺言書そのものを画像データ化して保存する。従来必要だった家裁の検認は不要。→法務局は、閲覧等、又は画像データの交付請求人以外の相続人に対し、遺言書を保管している旨を通知しなければならない。・・・・とすると、これで相続手続は円滑化??

  その内容、中味については、法務局が外形的な条件充足の確認までしかしていただけませんから、誰が指導支援するのでしょうか?

今後の行方がとても心配な制度の導入です。