2019年8月20日火曜日

自らの暗黙知は?

 米国発の科学的アプローチへの偏り、欧米で流行りの指標やツールを、例えば、全国の土地家屋調査士会におけるCPD採用の如く、数値化のみに偏って導入した平成の日本人は、全く伸び悩んでいますね。
 
 明示的なデータ、手法、そしてマニュアル。
 このようなアプローチにおいては、経験や五感から直接的に得られる無意識や、言語化が難しい「暗黙知」は重視されない。それは形式知というアプローチか。 暗黙知とはいわば、「今、ここ、私だけが」経験している全人格的な知識であり、現場の文脈に深く依存する。信念やものの見方、価値観といった無形の要素を含んでおり、主観から新たな意味づけ、価値づけが行われます。 
 つまり、暗黙知から出発しなければ、新たな知識を創造することはできない。そして、形式的な数字を意識ばかりしてしまうと、カイゼン思考に陥り、本来の競争力の源泉である新たな付加価値をもたらす飛躍的な発想が生まれず、創造的なイノベーションが起こせなくなります。 
 人は生来、意味づけと価値づけを探求します。理念化、数学化された自然科学が前提にする客観的事実は、とりあえずカッコに入れて、自分自身が直接経験している生き生きした多様な感覚に集中し、その本質を、過去、現在のあらゆる経験や知識、未来予測能力を総動員して概念化する。そこから他者との相互理解を通して、普遍化を目指すことが重要です。
 ・・・・・これは、一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏の、JR東海誌ウェッジ8月号に寄稿された、バブル崩壊後、日本企業の活力を奪ったものは何だったのか、という文面からの抜粋です。
 暗黙知的アプローチに続いて必要なのは、実践知。
 
① 善い目的をつくる能力
② ありのままの現実を直感する能力
③ 場をタイムリーに作る能力 
④ 直観の本質を物語る能力
⑤ 物語りを実現する能力
⑥ 実践知を組織する能力

自省してまいります。














2019年8月19日月曜日

仕事を介して

 致知という月刊誌は、ご存知でしょうか。創刊は昭和53年、昨年が発刊40周年とのことで、実は亡くなった義父から、個人事業を営む上でこれを読むと良いと薦められたのを覚えています。
 義父は、一年の闘病後、築地のがんセンターで天に召されました。いつも病室にこの冊子が置かれていましたが、さほど気にとめることもなく、生意気な30代の私は、朱子学、陽明学といった世界と、安岡正篤(マサヒロ)氏という政財界に大きな影響を遺した方の事も、興味をほぼ感じず、平成のバブルに呑み込まれていきました。


 あれから30年・・・綾小路きみまろではありませんが、この致知を読むようになり、先回の「こども論語塾」の件も、そのひとつです。 
 何の為に土地家屋調査士という国家資格者として、30年、40年続けてきたのか。そしてこの先、何が使命なのか。例えば、吉田松陰や横井小楠(ショウナン)が、ほとんどお互いに接点がないにもかかわらず、1853年ペリー来航の年に、松蔭が熊本に横井を訪ねて、お互いの情熱、国家の在り方を語り合った。混迷する日本の進むべき道を話し合い、この一つのテーマに、心と心が呼ぶ、英雄が英雄を呼ぶという様。ある意味、そこから明治維新のエネルギーは凝縮し、真の点火が始まったのではないか、といったような研究家の対談記事を読みながら、30代、40代、そして50代と、勉強をしてこなかったものだなぁと、反省しきり。
 
 最近少しずつ、中国の古典、論語に限らず、生来の中韓拒否の自分をおさえて、読むようにしています。
 自分の使命は、まだわかりません。この先、何ができるのか。何か変えられるものか、わかりません。ただ、こうして愛知会会長3年目。且つ、連合会副会長に就いて2ヶ月丁度を経過する今、1100名、更には16700名の中の様々な声、状況も知ることとなり、わかってはいないなりに、学び受ける覚悟は再認識している次第です。
 この会務、そして土地家屋調査士たる自らの仕事を介して、世の中と向き合い続け、生涯現役、貫きたいものです。







 

2019年8月15日木曜日

お盆にて


 南の島へ、台風を気にしながら、孫と一緒に家族旅行。時間の合間に読んでいた雑誌で、安岡正篤師の令孫、安岡定子さんの「こども論語塾」のインタビュー記事にふれました。 
 安岡先生は、昭和そして平成の元号の名付け親とも。そして日本の近代、多くの政財官界の指導者層の啓発、教育、指導に力を注がれた陽明学者です。
 定子さんの肩書は「こども論語塾講師」とあり、全国20ヶ所以上で定例講座を開いて、幼い子を対象に先賢の言葉を口ずさみ、驚くべき成長を見守っているといいます。

 2歳くらいで、論語の言葉を何も見ないで言えるようになる。早くから皆に交じって素読する音の波の中に浸ることによって、論語が沁み込んでいくというのです。
 聞くということが、いかに重要かということを物語っています。
 例えば、いきなり論語の話から始めるのではなく、季節の話や年間行事の話から始め、5月だと「なぜ、鯉のぼりだと思う?他のお魚でもいいんじゃないの?」と子供たちに問いかける。そこから、昔中国の黄河に、竜門という大きな滝があって、そこを登り切った鯉は、鱗が光りはじめ、竜になるという伝説を紹介し、鯉は健康、強さを象徴しているところから、鯉のぼりが始まったことや、そこから派生した登龍門という言葉について話す。

 一見、難しく感ずる話も、子供達は面白がって聞いてくれ、そのうち先回りをするようにもなる。 相手が小さな子だから、こんな話は無理とは考えないで、どんどんお話しするようにしています…と。
 「故きを温ねて新しきを知れば、以って師と為るべし」(ふるきをたずねて・・・もってしとなるべし)
 昔の人の考え方や生き方を学んでから、自分のやるべきことに取り組む人は立派だ・・・けれども、それだけではお子さんはピンときません。
 まず「皆にとって故きものは何ですか?」。すると子供は、おじいちゃんとか、赤ちゃんの時に使っていたおもちゃ。少し大きくなると、織田信長のような歴史上の人物を挙げる子もいるとか。刀、思い出、アルバムって言う子もいます。 そこで「皆が言ってくれたものが、全部正解です。故きものは、いっぱいあります。人や物。歴史そのもの。人の考え方や生き方までも、一度見直してみましょうって、孔子先生は言っているんですよ」と。 
 学んで時に之を習う、亦、悦ばしからずや。
 朋有り、遠方より来る、亦、楽しからずや。
 人知らずして慍らず、亦、君子ならずや。

まなんで、ときにこれをならう、またよろこばしからずや。ともあり、えんぽうよりきたる、またたのしからずや。
ひとしらずして、いきどおらず、またくんしならずや。

・・・親子で味わって欲しい「論語の言葉」。

 勉強。古典を深く学び、実践すること。子供にも、自分の同職の皆さんとも、今一度、考えてまいります。
 
 
 
  
  
  
   
 
  













2019年8月8日木曜日

帰国

 韓国からの帰国

 大韓民国10名と中華民国4名の方々は、とても良い参加者ばかりでした。お世話になりました。といっても日本側、1人。握手と写真撮影の多い事。苦笑いし続けていました。
会議・前夜祭では、韓国人の通訳さんがいるものの、その他の行動は、言葉が通じない。

 さて、最新の技術エクスポには、ヨーロッパの方から、FIGの発表も含めて2時間半、韓国がいかに優れているかのイベントに参加させていただきました。
5Gはサムソンが開発し、世界でも、韓国が全ての分野にてリードするのだと。
ただ、韓国語と英語の同時通訳機材のみ。
詳しくは、何もわからないイベントで、寝る訳にもいかず、閉口。

 この国際地籍学会なる組織。韓国と台湾には、政府の助成金もありますが、連合会の参加には、全国の会員さんの会費が予算執行されます。
 大学教授か、政府機関の役人さんの組織と、民間ライセンス業界の交流の場です。
組織構成が、異なります。
 よって、飲食含めて考え方が全く違います。
褒賞や、握手や、セレモニーがメインです。
 1人で参加で良かったとつくづく思いました。来年秋の韓国シンポに、日本から6本の論文を発表が期待されています。
第12回目となります。

 自分は、第5回目の京都大会の副責任者を2006年に務めていますが、2500万円の予算と、全国から約2000人の調査士のみなさんの国際会議場集結を、体験しました。
 集まった事だけは成果でした。
会場に入れなかった方もみえました。 
 さて、来年秋の韓国シンポには、日韓両国の関係はどうなっているでしょうか?
日本側の参加は、やはり地籍問題研究会が主体となるべきでしょう。
測量技術の向上?カノ国では、立会いが事実上ありません。
国が、境界の位置を示して決めるだけです。
 土地家屋調査士業界が、カノ国と交流している事自体がおかしいのです。
国土交通省的な、情報交換する場です。

 軌道修正を、するべきだと思うのみ。

 帰国します。