2020年7月22日水曜日

豆知識


 令和の民法改正。遺留分侵害額請求権の恐しさについて、7月末のミニ連休中に確認していただきたく、ご紹介いたします。

 これに先だって、7月10日の法務局による遺言書保管制度についても一言。
 7月1日から各法務局のホームページから予約をすることとなり、0時から受付がスタートされ、1日の午前9時には既に10日(金)~17日(金)の予約が満員となっていました。人気ですね。

 翌日、予約を申し入れて、20日の午後14時にようやく顧客夫妻をお連れすることとなりましたが、一人の予約枠が90分と案内が返ってきました。随分長い。
 当日までにお二人には、全文自筆で、ボールペン・A4自筆証書遺言を(下書き通り!?)書き上げていただき、ご一緒に名古屋法務局1階供託課ブースへ出向きます。印紙3900円を貼った申請書と、一人ずつ遺言書を提出した後、全国のホストコンピューターへ画像読み取りを完了させるのにどうやら30分以上かかり、一人50~60分はかかりました。
 窓口で最後に、A4緑色の保管証1枚をいただいて終了。
 
私見として、やはり公正証書遺言を推奨すべきです。登記所では文章の内容は確認されません。相続人の続柄も住所・氏名も確認しません。日付と押印。免許証による本人確認を行うだけです。
 私のお客様分については、責任をもって、私、又は私よりも若い執行予定者が事後対応することで対応しますが、果たして今後、この法務局保管遺言が平和裡に実行出来るかどうか、実証が必要です。




 さて、最初の遺留分に話は戻ります。
令和元年7月1日以降の遺留分侵害額請求権の主張は、早速、最近私が従前作成を任されていた相続発生において始まっています。
6月30日までの遺留分減殺請求と異なり、これからは金銭債権です。現金での精算しか出来ません。

 ある公正証書遺言を全相続人にご案内しました。
 遺留分は、一人当たり2000万円と計算が出たとします。
 現金でもらうと言う相続人A。やはり駐車場2000万円分を一筆もらいたいと言う相続人B。
 遺言で故人から、大方の遺言継承を受けたCさんは、Aさんには2000万円を送金し、Bさんには、一度Cが相続をしたこととなった上でBさんに所有権移転登記をします。2000万円で長期譲渡したこととなり、Cには約400万円の分離譲渡所得税を、別途、翌年3月15日に確定申告してもらいます。相続税は勿論A、B、C、各自現金納付です。
 ここからが、更に恐しいと私が思う今回の改正です。
 遺留分計算の遺産額は、相続税申告上の評価額として納得いただければありがたいのですが・・・実は時価です。
 更に、相続人に対する特別受益に当たる過去10年内になされた贈与も加算した分母が対象です。
 孫や第三者へ1年内に贈与した分も加算されます。
 つまるところ、このような請求をするには、弁護士さんの知識と介入が必至です。

 土地家屋調査士も、相続について最低限学んでおくべき新法です。